一閑張の工程

・下張り
土台となる木型や竹かごなどに、糊で和紙を張り重ねます。下張りの段階で紙の間に空気が入ったり、歪めて張ってしまうと、後から修正ができないため慎重に張り進めます。
 
 
・上張り
下張りが乾いたら、仕上げの和紙を張ります。皺が寄らず、継ぎ目が分からないよう、形に合わせて張り重ねます。また、紙の表面に糊が残らないように仕上げます。
 
 
・塗り
最後に柿渋や漆などで表面を塗装します。柿渋には、防腐・防虫・防水などの効果があり、物をより長持ちさせます。また作品によっては、金箔や銀箔、裂などで柄をつける加工もおこないます。

 

一閑張の在り方

 道具を長持ちさせるための技法として一閑張は生まれました。材料は紙や糊、竹かごといった手に入れやすいものであったり、着物の端切れや古紙など不要になったものを二次的に活用できることから、庶民の間でも親しまれていました。しかし、近年ではプラスチック製品の普及や、道具の使い捨てが当たり前となり、一閑張に限らず様々な工芸品が生活の中から姿を消しています。
 
 和紙と糊が主な原料のため割れてしまうことはなく、傷んできた場合は張り直して修理すれば、何百年と使い続けられる一閑張。また、自然素材を使用しているため、身体に害がありません。こうした一閑張の魅力を改めて広めるとともに、時代に合わせた作品の中にも伝統を感じていただければと思います。